
運送・配送業界で活躍するドライバーにとって、「職務経歴書」は過去の走行距離や件数だけを記す書類ではありません。日々の運転の中で培った安全意識、時間管理能力、顧客対応力などを「言葉」で伝えることで、自分の仕事の価値を再確認し、転職市場での強みを発揮できるものです。

ドライバー職の場合、職務経歴書は採用担当者にとって「即戦力か」「安心して任せられるか」を見極める重要な判断材料になります。だからこそ、自分がどんな種類の車を運転していたのか、どんな荷物を運んでいたのか、どんなルートを担当していたのか、具体的に書くことが求められます。 たとえば以下のような情報は、職務経歴書にしっかり盛り込みましょう。
・有している免許の種類(例:中型免許、大型免許、けん引免許、フォークリフト免許など)
・運転していた車両の種類(2t、4t、10t、冷凍車、ウイング車など)
・扱っていた貨物(食品、雑貨、建材、医薬品、ユニクロ商品など)
・配送エリア(地場配送、中長距離、ルート配送、スポット便など)
・荷積み・荷降ろしの方法(手積み、パレット、フォークリフト使用など)
・一日の配送件数、走行距離の目安
・納品先での顧客対応や、時間厳守・交通マナーの実践などの姿勢
これらの情報をただ羅列するのではなく、「安全運転を心がけ、無事故・無違反を○年間継続中」「渋滞時も臨機応変に対応し、定刻納品率98%を維持」といった形で、成果や工夫を加えることで、より「仕事ができるドライバー像」が伝わります。

また、「体力がある」「黙々と仕事ができる」といったドライバーの特性だけではなく、「挨拶・身だしなみを大切にしており、納品先のお客様から感謝の声をいただいた」など、コミュニケーション力も立派な強みとして書くことができます。
未経験の配送内容にチャレンジしたい場合は、過去の経験から応用できるスキルをアピールしましょう。たとえば「コンビニ配送経験あり。荷扱いが丁寧で、商品破損ゼロを継続」「冷凍・冷蔵車を使用した食品配送経験があり、温度管理や品質保持に配慮した対応が可能」など、自分の「できること」を具体的に伝えるのがポイントです。
職務経歴書の最後には、自己PRの項目を入れましょう。ここでは、業務に取り組む姿勢や仕事への考え方を記載します。
例:
「日々の業務では、安全運転を最優先とし、急発進・急停止を避ける“やさしい運転”を徹底しています。納品先での対応では、ただ物を届けるだけでなく、あいさつ・清潔感・丁寧な対応を意識し、信頼関係の構築にも力を入れてまいりました。これまでの経験を活かし、御社でも責任を持って仕事を遂行してまいります。」
このように、自分の仕事へのこだわりや誠実な姿勢を言語化することで、職務経歴書は単なる「経歴のまとめ」ではなく、「あなたの働き方を伝えるメッセージ」に変わります。

採用担当者は、経験年数だけではなく「どんな人柄か」「自社にフィットしそうか」を読み取ろうとしています。だからこそ、どんな現場でも“信頼されるドライバー”を目指してきた姿勢を、丁寧に表現することが大切です。
あなたがこれまで運んできたのは、荷物だけではありません。「安心」「信頼」「時間の正確さ」も一緒に届けてきたはずです。職務経歴書を通じて、その価値をしっかり伝えましょう。

